夫婦カウンセラーが教える「夫婦関係を修復するために必要な3つのこと」
夫婦カウンセラーが教える「夫婦関係を修復するために必要な3つのこと」
□夫婦関係修復の厳しい現状
今回は、離婚専門行政書士というよりは「夫婦カウンセラー」としての目線でお伝えをしたいと思います。
テーマは、夫婦関係に様々な問題が生じてしまった際に、「離婚」ではなく「修復」の道を選んだ場合におけるポイントです。
私も現場で数千組の夫婦を見てきましたが、問題が何もない完璧な夫婦は一組もいないと思います。
それでも、何とか折り合いをつけて家庭を守っているのだと思います。
しかし、それでも時として「もうだめかも」と思うようなトラブルやすれ違いが起きてしまします。そのようなときに、どのように夫婦関係の修復をすればよいのでしょうか。
前提として、夫婦関係の修復は極めて困難なことが多いです。その最大の理由としては、夫婦関係の修復は、夫婦の双方が同じくらいの温度感で修復を望んでいないと実現しないという事です。
どちらか一方が修復を望んでいても、相手方が離婚を望んでいる場合には、修復のための取り組みを試みることさえできない事があります。
そもそも、夫婦関係に大きな問題が生じているというときは、夫婦間に「会話」や「信頼関係」が存在しないことが多く、しかもそのような状態になるまでに数年から十数年の年月が経過しているために、「修復を諦めてしまっている」ことが多いです。
これまでに、何度も修復や歩み寄りを模索したにもかかわらず、関係が改善しなかったという思いが強いので、「もう疲れた」「もう離婚したい」、そんな気持ちになっていることもめずらしくありません。
前置きが長くなりましたが、このように、すでにどちらかが離婚を覚悟しているようなかなり深刻な状況で私のところへいらっしゃる夫婦が多いという状況をまずご理解いただければと思います。
□夫婦カウンセラーが教える「夫婦関係を修復するために必要な3つのこと」
夫婦関係を修復するために必要なことは大きく分けて以下の3つです。
1、目線を合わせる
2、誤解を解く
3、夫婦の夢を創る
夫婦関係の修復は、あまりロジカルにおこなってもうまくいきません。 つまり、現状における双方の不満を聞き出してそれを一つ一つ解決するというようなアプローチは、かえって関係を悪くすることもあります。
気楽に楽しく試みることが成功の秘訣だと個人的には考えています。 それでは、それぞれのポイントを解説させて頂きます。
1、目線を合わせる
このプロセスは非常に重要です。このプロセスがないとこの先何をやっても上手くはいきません。 ここでいう「目線を合わせる」というのは、「本当に夫婦関係を修復したいのか?」「なぜ夫婦関係を修復したいのか?」ということです。 この質問は極めて重要です。 意外と思われるかもしれませんが、例えば「家庭内別居」の状態にあって、夫婦関係が破たんしているような状態でも、実は夫婦はその状態を望んでいることが多いのです。 もちろん、「理想の夫婦関係ではない」という認識はあるのですが、それなりに安定している暮らしをされています。そうでなければ、そのような暮らしが継続してはいないのです。 ですから、口では「夫婦関係を修復したい」といっていても、実はそれほど危機感や必要性に迫られていないケースは多いです。 関係の修復は、曲がりなりにも安定していた生活を変え、様々な努力を必要とします。 かえってストレスになることの方が多いのです。 だからこそ、夫婦双方が相当な覚悟をもって「夫婦関係の修復」を望んでいることを確認することが大切なのです。 そしてそのことをお互いに伝えることで、お互いの心が次第に歩み寄る方向に動き出すきっかけにもなります。
2、誤解を解く
夫婦双方の修復への覚悟を伝え合ったら、次はコミュニケーションを再構築していきます。 夫婦関係に問題があるケースのほとんどが、コミュニケーンが圧倒的に不足しています。 その結果何が起きているかというと、お互いの考えや気持ちがわからなくなってしまっていて「誤解」「恐れ」「諦め」などといった様々な不の感情が生じています。 人間は、本能的に「気持ちが読めない者」に対して恐れ、嫌悪するようになっています。 そのような状態になると、もはや当事者だけでコミュニケーションを再開することは極めて困難です。 まずは、夫婦双方が信頼している方や、専門家の立会いの下少しずつ会話を重ねていく事が大切です。 沿いてそのようなやり取りの中で、多くの場合は互いに大きな「誤解」をしていることに気づきます。 「え?そんな風に考えていたの?」「はじめて聞いた。。」「あの時そう言ってくれればよかったのに」 そんな体験を多くの方がされます。 コミュニケーションが不足し、夫婦間の信頼関係がなくなると、お互いに本音が言えなくなります。逆に思ってないような暴言や振る舞いをしてしまい、ますます関係を悪化させてきた経緯があります。 そこは、第3者がお互いの気持ちをくみ取り、代弁しながら気持ちをほどいていく事が望まれます。 お互いに意地を張っていて、なにかきっかけがないと、「挙げたこぶしを下げられない」「今更ひきかえせない」という状態です。 そのような状態を打破するには「相手を誤解していたかもしれない」という思い必要です。 「誤解をしていた。そして、今誤解は解けた。だから、修復してもいいよ。」 この建前が必要なのです。どちらが悪いのではなく、「誤解」していただけなんだ、という落としどころが大切です。実際に、それが誤解であったかという事実がどうという事ではなく、感情を収めるという事が夫婦関係修復の肝となります。
3、夫婦の夢を創る
双方の誤解を解いたら(誤解を解いたという共通認識を形成出来たら)、次は新しい夫婦関係を構築していきます。 夫婦関係が破たんしていく原因として、お互いの「理想の夫婦像」「理想の家庭像」にズレがあるということがあります。 「こんな夫婦関係、普通じゃない」「ごくふつうの家庭を築きたい」そんな声を多く聞きますが、まさにこの「普通」が曲者なのです。 「普通」というのは人により千差万別です。多くの場合は、自分の両親や家族が「普通」の基準になります。しかし、両親の夫婦関係や家庭は、それこそ千差万別です。 そこのズレに気づかないと「あいつは普通じゃない」「普通のことを理解してもらえない」という事態になるのです。 そこで、結婚前に戻った気持ちであらためて、「どのような夫婦関係を築きたいのか」ということをお互いに改めて向き合い、それを伝え合ってもらいます。 最近では、婚前契約とまではいかないまでも、結婚までに様々な価値観や考えをお互いに表明し、結婚後にズレが生じないように簡易的な書面を作成する夫婦も増えてきています。 一度関係が破たんしてしまった夫婦は、関係を元に戻すというよりは、新しく関係を築くという気持ちが大切です。 長年一緒に過ごしてきた夫婦間でも、お互いに理解していなかったことが驚くほどあります。新しい発見を楽しみながら、信頼関係を再構築していくことが望ましいです。 夫婦で「今後どのような夫婦関係または家庭を築いていくか」がみえてきたら、それを忘れないように書面にしておくことも大切な工夫の一つです。 夫婦関係修復は、長い時間をかけて少しずつ実現していくものです。 一度修復を決意しても、色々なストレスやすれ違いが起き、修復を断念したくなることもあります。もっといえば、そのような感情の波が出てくることはごく自然なことです。 大切なのは、そのような感情の波がおきて「夫婦関係の修復を諦めかけたときに、よりどころとなるものがあるかどうか」です。 夫婦関係修復の過程で、少しでも違和感を感じた時は、「修復の決意や、夫婦で描いた夢(理想の夫婦像や成し遂げたいこと)が書かれた書面」に立ち戻り、再度夫婦で気持ちを合わせていく事が必要です。
□まとめ
夫婦は、元は他人です。その他人が、恋愛というプロセスの中で、濃密なコミュニケーションを重ねて夫婦となったのです。 ですので、コミュニケーションをとらなくなれば、自然と元の他人に戻っていく事は自然なことです。 離婚という選択をすることは簡単ですが(実際に離婚をするのは簡単ではありませんが、、。)、もし、修復を望むのであれば、恋愛期と同等以上のパワーをかけてコミュニケーションをしていく覚悟を持ってほしいと思います。 もっといえば、夫婦関係が破たんしてからの修復は本当に大変ですので、いまからでも夫婦間のコミュニケーションを見直すきっかけにしていただければ本当に嬉しいです。
※当記事は、調査会社様より依頼を受けて作成したものです。